きょうだいの意識調査

1997年、2015年に、障害者のきょうだいの意識調査を実施して得た結果から、それぞれのライフステージで、どんなことを考え、悩んでいるのかをまとめました。

協力してくれたきょうだいさんたちの同胞の障害は、知的障害(脳性麻痺・自閉症含む)、ダウン症、自閉症、心身障害(重症心身含む)などです。年齢は20代~40代。18年経過しても抱えている課題は変わっていませんでした。

幼児期~小学生の頃

自分アイデンティティの芽生え

・同胞をライバル視していた

・同胞について悪い事を考える自分が嫌

・いい子にしていた(優等生)

・いい子でなければならないと思っていた

・親が自分の方を向いてくれるか常に意識

         *同胞とは、障害のある兄弟姉妹のことです。

同胞との関わりーきょうだい関係

・きょうだいの順列が逆転していた

・自分は弟・妹なのに、なぜ兄や姉の面倒をみなけ
 ればならないのかわからない

同胞と普通にきょうだい喧嘩をしたかった

・年下のきょうだいの世話は当たり前だが大変だった


同胞との関わりー保育園・幼稚園まで

あまり障がい者であることを意識していなかった

・同胞と楽しく一緒に遊んでいた

ほかにも健常者のきょうだいがいたので特に何も負担は感じなかった

                           ・友達も同胞も一緒に遊んでいた

家族との関わり】-母親との関係

・母を同胞に独占されている気がした

・同胞中心の生活を送ることが不満だった

・同胞が特別扱いされていて不公平だと思っていた

・母親が自分だけを無視していると思っていた

・母は大変そうなので、仕方がないと判っていた  

・母親に甘えるのを諦めた  

・両親は私より大変だから迷惑をかけてはいけない  

・親が死んだらどうしようと思っていた

家族との関わり - 夫婦仲の影響

・同胞のことで親がいつも喧嘩していた
・どうしたらいいのかわからなかった

・障害の受容度が夫婦で異なっていた

・どちらからも異なる話をされた

・自分が迷惑をかけたらいけないと思った

・両親がもっと喧嘩してしまうか知れないと思った

・母親の精神的な支えになっていた

仲直りさせたくて家族を笑わせようとした        


同級生との関わり合い

・同級生との付き合い方に悩んだ(友達を家に連れて来なくなった)

・同級生に同胞のことを話せなかった(聞かれると話題をそらした)

・友達と遊びたくても同胞の世話をすることが優先だった

・同胞を「お前のお姉ちゃん変だよ」といわれてショックだった

・同胞のことをバカにされ、なじられた、いじめられた

・上級生や先生が、同胞が同じ学校にいることを知っていたので同胞がパニックになったら、いつ声をかけられるかと常に緊張していた

Point:多くのきょうだいたちが、小学生の時には同じ立場のきょうだいの存在を知っていたけれど、友達になろうとか、話したいとか、思わなかった。しかし大人になって、小学生の頃から自分一人で悩んでいたので、やっぱりあの頃から必要だったのかもしれない、と思う、と話します。現時点で「必要ない」から作らないのではなく、きょうだい児の居場所を作り、いつでも気が向いたら来られる環境を整えておくことで、いまは当たり前ではないことが、いつか当たり前になるのだと思います。

中学生の頃

自分思春期

・周囲と自分の家庭の違いを敏感に感じていた

・分かってくれる人がいない孤独感があった

・将来の方向性について悩んでいた

・親には差別発言されたことを黙っていた
・ストレスと不安と孤独感が増した

・同胞のことを満足に話せない自分にもやもやしていた

・誰かと共感し合いたかった

同胞との関わりーきょうだい関係

・特に問題はなかった

・同胞に優しくできなくなってきた

・同胞に対して健常者である自分に罪悪感

家族との関わり

・親に将来の進路を決められた自分の意に反していた。

・親に傷ついた気持ちを話したら一緒に泣いてくれた

・親と分かり合えたので嬉しかった。


   【同級生との関わり合いー孤立

     ・同胞のことを意図的に隠した

     ・友達に同胞のことを知られたくなかった

     ・友達から仲間外れにされるのが怖かった

     ・友達に同胞のことを知られたらどうしよう

     ・友達と同胞のことについて話さなくなった

     ・自ら友達と離れて孤立した  

     ・優等生でいるように努めた  

・同胞の話題から逃げたり話を逸らした   ・差別発言に傷ついた       ・普段の会話に敏感になった

Point: そろそろ思春期。親から「あなたは、自分の人生を生きてね」と言われると、とっても戸惑ってしまいます。障害について周囲からの偏見や普段の会話が気になるようになってきた頃に、急に突き放されているように感じてしまう場合もあります。自分の人生って何なのか、まだわからないのに、家族の相談事や会話にいれてもらえなくなると、とても悲しい気持ちになります。親の期待を押し付けないこと、本人の夢や希望をしっかりと聞き、受け止めること、周囲からの偏見や無理解な言動を受けていないか注意を払ってほしい時期です。

高校生の頃

自分進路

・社会福祉関係の進路に進むべきか迷った

・社会福祉関係の仕事をしようと思った

・専門的な知識を身につけて同胞のことをもっと知りたい

・自分の可能性を限定されたくない

・社会福祉関係ではない職種を選んだ

・福祉制度に興味を持ち始めた

障がい者福祉に関する世界から離れたかった

・社会福祉以外の道を進むことは逃げていると思った

・わざと福祉関連の話題を避けていた

同胞との関わり

・ひとり暮らしをして同胞から離れたかった

・同胞と対等な会話が出来なかった


 

家族との関わり

・自分が一人っ子だったらよかったのにと思った

・ケアは両親に任せて自分は何もしなかった

・家族に、自分の進路相談ができなかった

・家族に進路相談をしてもわからないだろうと諦めていた


    【同級生との関わり合いー孤立

      ・無意識に差別的発言をする同級生が増えた

      ・好きな人に同胞のことを打ち明けられなかった

      ・好きな人に同胞のことを打ち明けてフラれた

      ・相手は知らないので、大変過ぎると勘違いしたが

       自分でそれを正す知識も表現の仕方もわからない

      ・勇気を出して話したが、理解されず、落ち込んだ  

・友人に話したら同情されるのが嫌だった ・友人に話したら、可哀そうにという表情をされた  ・分かり合える友人がいた

Point: 進路を決める時期がやってきました。どの分野に進みたいのかを、親はしっかり話し合ってください。親の夢や期待を投影するのではなく、本人の意志を尊重しましょう。この時期になると、障害を持つ兄弟姉妹とのコミュニケーションが希薄になります。自分野ことで精一杯になり始め家族とは疎遠になったり孤立化し始めます。受験など精神的にストレスがかかる時期なので、障がい者のケアや世話に費やしていた時間を少しずつ解放してあげてください。親子の会話はこの時期とても大切になります。

大学生の頃

同胞との関わり

・同胞の将来について漠然とした不安があった

・自分は同胞とどう関わればいいのか考え始めた

・たまに家族と会うと同胞との距離感を感じ始めた

・あまり同胞話さなくなった

・同胞がどんな仕事をしているのか、どんな教育を受けて
 いるのか全くわからない(もしくは関心がない)

・親が全面的にケアしているので自分は関わらない

家族との関わり

・親の老後が気になり始めた

・同胞の将来や生活に悩む母親のことが心配だった

・親が病気になったら、どのような世話をすればいいか

・親亡き後に、どうしたらいいのか真剣に考え始めた

・自分がやりたい仕事と、親が期待する仕事が違っていた

・自分がやりたい仕事を諦めた

・自分がやりたい仕事を選んだ


自分 - 就職・恋愛

・大学で障害者の研究をするうちに現実がみえてきて 逃げたくなった。

・大学で学べば、障がいが治せると思っていたが、出来なくてジレンマだった

・結婚が出来るのか不安になった

・相手の親が結婚に反対するのではないかと不安だった

・付き合っている人に同胞のことを打ち明けづらかった

・付き合っている人は助言してくれたり理解してくれた

・自分のことで精一杯で同胞のことは記憶にない

・家族から離れて暮らし始めたので冷静になれた 

自分にも、同じ障がいが遺伝するのではないかと不安

・自分の将来について不安だった ・同胞の面倒、結婚、就職について悩んでいる

親に自由にしていいといわれても、最後は自分が面倒 を見ることを知っている。(覚悟はできている

・同胞の面倒はみたくない、関わり合いたくない ・自分は健常者なので、健常者の世界で生きたい

Point: 大学生になると、自分の考えがまとまってきて、知識もふえてきます。自分の感情やそれまでの経験を相手に話す機会も増えます。自分が目指す職業の経験者だけではなく、幅広い社会経験を持つきょうだいと会い、話す機会を増やしてください。毎月、都内や日本各地で「きょうだい会」や「きょうだいの集い」が開催されているので、参加してみましょう。ボランティア活動や大学の課題のための課外活動も活発になってくる時期です。

夢や希望は諦めず進んでください。社会福祉系の仕事をする道を選ぶことも、それ以外の職業を選ぶことも、すべてはきょうだい自身の選択です。

社会人になって

自分 - 恋愛・結婚・将来

・恋愛することが怖い

・同胞のことが原因で破断になるのではないだろうか

自分が傷つきたくない

・お付き合いを申しだされて困惑する

・結婚をすることは難しいと思う

・付き合っている人がどれくらい同胞を理解してくれるか

・付き合っている人の家族が同胞を理解してくれるか

・どのタイミングで同胞のことを打ち明ければいいのか

・将来の介護や世話を考えると、相手の態度が変わる気

 がして、結婚に踏み切れない

・将来の夢や希望が描けない

・恋人には迷惑をかけたくない

・恋人の本音が知りたい

・自分の子育てのことで親に相談できない

・自分の子供が同胞の障害を知り、避け始めた

・人生設計や将来について悩んでいる

・施設やグループホームなどの情報に関心を持ち始めた

・自分の決断は同胞にとって本当によかったのか悩んだ


同胞との関わり - 高齢化

・同胞の老年化、早老化で自分の役割が変わり始めた

・同胞の早老化で、喪失感への怖れが出てきた

・同胞が、本当は将来どのように生きたいのかわからない

・財産管理、書類管理、栄養管理、身辺監護など

・成年後見人となるべきか否か迷っている

・親からは成年後見人となるよう期待されているが、

 自分はどうしたらいいかわからない

家族との関わり - 介護

親の高齢化よる介護への不安がある

・親の介護と、同胞の親代わりの両立ができるだろうか

・親が自分に同胞の面倒を見ることを期待し過ぎている

・親の期待が重くなってきた

・経済的、精神的に、親の老後の面倒を見れるのか心配

・親との対話が再開した

・親に対して自分の悩みを打ち明けられない

・親の期待に応えられない

・親が同胞に過保護過ぎて可能性を奪っていると思った

・親に自分のことを認めてもらえなかった

配偶者との関わり - 理解と協力

・同胞のことを自分が幼児扱いしていると指摘された

・同胞のお母さんみたくなっていると指摘された

・第三者の立場で、障がいについて話してくれる

・冷静な視点で物事を判断できるようになった

・障がいについて新しい視点で捉えるようになった

・配偶者は、障害のことを普通に相談できる相手

・配偶者は、信頼できる相手

・配偶者は、絶対的な自分の味方

・配偶者とは意見が食い違うので同胞の事は相談しない

・すべて自分ひとりで考えて決めなくてはならない


Point:社会人になると、きょうだいの職業や結婚しているかどうかなどの質問を受ける機会も多く、大抵は話を反らしたり嘘をついてその場を収めるきょうだいが後で罪悪感にかられるという心労を抱えることも少なくありません。特に結婚に対しては非常に慎重になり、相手だけでなく、その家族からの理解や同意があるか否かによって自分ではどうしようもない偏見や知らないことの怖れなどが壁となってしまうケースもあるのです。絶対に結婚は出来ないと決めつけなくていいのですよ。自分の家族を受容してほしいと願うあまりに、自分をないがしろにしてはなりません。お互いに理解し受容するよう心掛けましょう。

親に分かってもらえなかったことは何ですか?

・私が思っていることは殆どわかってもらえていないと思う
・自分の気持ちを親に話したことがほとんどない
・自分をもっと視野に入れて育ててほしかったこと
・同胞を中心とした家庭にしないでほしいという気持ち
・自分だけが疎外されていると孤独感を感じていたこと
・自由にしていいと言われたが、同胞の存在抜きで自分の人生を設計できない
・親が過保護だとおもう私の気持ちをわかってもらえない
・親が同胞の可能性を伸ばし切れていないと思うことを親はわからない
・若いから未来はあるといって、自分の意見をきいてもらえない
将来の不安や考え方に対して意見を親にいっても、大丈夫だといわれるだけ

Point:母親との関係性がとても重要であることがわかります。父親とはあまり話さなかったきょうだいもいれば、お父さんっ子だったきょうだいもいます。片親が先に亡くなると、きょうだいはその片親の役割も担い始めます。ご両親に対して、きょうだいの思いを伝え、障害のある子どもへの療育と並行してきょうだい児との関係性も見つめ直す必要があります。

障がいのある同胞に、どんなケアをしています(いました)か?

・障害に関係なく普通に接していた
・親では連れていけないところに連れて行ってあげた(外出をした)
一緒に食事をする(外食)
・パニックで暴れる同胞をなだめる母をフォローした
・パニックで暴れる同胞を母の代わりに抑えた
・親代わりをしていた
・学校や病院の送り迎え

Point ここに書かれていることは一見「普通」のことのようですが、同胞とショッピングに出かけたり映画を観たり外食をしている様子を知って、自分たちも一緒に行っていいんだという気持ちになったきょうだいもいます。親が働いていたり病気で臥せっている時には、障がい者のきょうだいでなくても、年下の弟妹の送り迎えをすることは普通にあることですが、自分が弟や妹なのに、障害のある兄や姉の送り迎えすることの矛盾を感じたり、急に走っていって周りの人に噛みついてしまう同胞の行動を制御したり、周囲の人に謝って歩くという、身体的・精神的なストレスを抱えながら送り迎えをすることもあるのですよく聞くのは、子育てに疲れている母親を精神的に支えているのが幼いきょうだい児であるというケース。やがて、母が中年期にかかると制御しきれなくなり、きょうだいが親の代わりに同胞を抑えるようになります。

*障害の程度や種別によって異なるので、すべてのきょうだい児が同じ体験をしているわけではありません

あなたの関心事はなんですか?

親と同胞を同時に介護すること
親亡き後の同胞のケアや介護
レスパイトケア(一時的に障害児者を施設に預けて家族が休息を取るケアサービス)の充実
障がい者向け、家族向けに提供されているサービスの情報をどこで入手することができるのか
施設や作業所の情報をもっと知りたい(どこに聞けばいいのか思いつかない)
若いきょうだいへのサポートをしたい
きょうだいの存在をもっと世間に知ってほしい
きょうだいも頼れる場所があることを知ってほしい
きょうだい同士の情報交換を広げたい
年齢別のきょうだいの繋がりを持ちたい
どんな活動やサポートが同じ立場の子供たちの力になれるのか、気になっている。
きょうだいの居場所を作りたい
成年後見人制度について関心がある
施設に預けたら、家族の目が同胞に届かなくなることが不安
施設に預けたら、他の利用者や職員の方々とうまくやっていけるのか不安

Point:親から「自由に生きていいよ、あなたの人生を生きなさい」と言われて育つきょうだいたち。

やがて親からケアのバトンを渡され、同胞の生活の世話や、将来どこに住んでどう暮らして行くのかを考える時期がやってきます。この調査の結果で明らかになったのは、親と同胞の介護に加えて、自分の生活、子育て、家族の世話もトリプルに両立させなければならないことです。独身の場合には、親と同胞の多重介護になり、既婚者の場合には、配偶者や子供の理解、配偶者の家族の理解や協力も必要になります。このウェブサイトでもライフスタイルに合わせた現状の報告と、必要な情報を集めて配信していきます。