ダウン症児者のご両親へ

ご両親にとって、

我が子に障害があることを受容することは簡単なことではありません。

誰もがショックを受け、描いていた夢が崩れ、誰に打ち明けたらいいのか

どんなことを質問したらいいのかすら、わかりません。

 これからどう育てていけばいいのか

 我が子なのに考えていることがわからない

 わたしたちの声が届かない

 周囲に知られたくない

ご両親は様々な不安とストレスを抱えています。

健常者である我が子は、希望と期待に満ちたかけがいのない存在です。

障害のある我が子の面倒は一生かかって両親で看るから、健常者である

我が子には自分の人生を歩んでほしい。

親のこの思いも、その表現一つで

健常者である我が子は、

 家族なのに仲間にいれてもらえない

 わたしだけ早く独立するようにと急かされる

 親亡き後は、わたしたちが面倒を看るのに

 家族なのに疎外感がある

とマイナスに捉えてしまうことが多いのです。

ご両親は、健常者の我が子が発信している信号を読み取っていますか?

Q. 幼児期から就学期に向けて、きょうだいにはどの様な感情変化があるのでしょうか?

A. 人により様々ですが次のような感情の変化や行動パタ-ンがあります。

  • 助け合い、協力しあうことを自然に覚え、率先して障害児を守り、手伝ってあげる。
  • 自分が健常者であることを恥ずかしく思う気持ちが芽生える。これは、何でも自分が先にできてしまって申し訳ないという気持ちと、障害を持つ兄弟が何故自分と同じように出来ないのかが理解できないジレンマから引き起こされる感情で、その「恥じ」の感情は自己に向けられたものである。
  • 他人のほんのわずかな言葉や冗談などに非常に敏感になる。
  • 学校でいじめにあっても親に言えない。(これは一般的にもいわれることですが)
  • 周囲の同世代の子供たちと、自分の環境との違いに気が付き出すと、両親(特に母親)への反抗心や障害を持つ兄弟への嫉妬心が芽生える。親から充分な愛情を受けていないように感じてしまう。
  • 自我が芽生え、自分の世界を追求し始める。親や障害を持つ兄弟との対話が減少する。
  • 独りになりたがる。
  • 障害に関する正しい知識を得ると、これまでの自分の嫉妬心や反抗心を悔いる気持ちが増し、更に悩んでしまう

彼らからの信号をご両親は、どのように受け止めて、対処してゆけばいいのでしょうか?

彼らはご両親からのもっともっと沢山の愛情と助言を求めています。

それは表面にはうまく出てこないのです。

彼らは大人が思うよりずっと早く成長しています。
特に精神的に大人びています。

 

大切なのは、

  • 「後回しにしないこと」
  • 「どうしても手が離せない時には、話し合う時間を作ること」
  • 「話し合う時間が無ければ、ご夫婦で役割を分担しましょう」
  • 「役割の分担が難しければ、大人になったきょうだいの力を借りましょう」
  • 「なるべく早いうちから、障害について説明してあげること」
  • 「親にもわからないことがあるので、きょうだいと専門家の話を一緒に聞きましょう」
  • 「参考文献やテキストを、読んで一緒に考えましょう」

- きょうだいたちは、疑問を持ってもなかなか親や大人に言い出せず、ひとりで悩んだり、判断したり、諦めてしまうことがあります。勘違いをすることもあります。必ずなんらかの信号を発しているはず。やさしいから、いい子だから、わかってくれているから、というのは親の過度な期待にもなっています。

 

気をつけてほしいこと (以下のことをもし無意識にやっていたら気を付けてください)

  • 「自分の面倒は自分でみるように言う」
  • 「障害児ばかりに時間を割いてきょうだいを後回しにする」
  • 「あとでね、と言っても注意を向けない」
  • 「障がいのある我が子との違いについて質問されると、大きくなったらね、
    いつかわかるから、と言ってごまかしてしまう。」
  • 「本や古いテキストだけ渡して、その後の感想などを聞いてあげない」
  • 「おとなしくひとり遊びをしているから大丈夫と思い、放置してしまう」
  • 「問題行動を起こしても、思春期だから仕方ないと、放置してしまう」
  • 「あなたは自由に生きていいのよ、あなたの人生を歩んでね、と言う」
  • 「障がいのある子どもに(心配させたくないので)何が起きているのかを説明しない」

障害児に比べて、健常児はなんでも早く出来てしまうように思えるかも知れません。

しかし、実際には、甘えたり頼ったりすることを自然に自己抑制していることがあります。

彼らはとても素直にご両親の言葉を受け入れ、物事を冷静に見つめています。

時には、誰よりも鋭い観察力で物事を見ているときがあります。

まだ小さいから、と思って放っておくと、すぐに殻に閉じこもる精神的に弱い部分も持ち合わせています。普段は障害のある同胞(兄弟姉妹)を守ることが常に頭の中にあります。

自分でも知らないうちに感情を押さえてしまうのです。


そんな「きょうだい」も、やがて両親のつらさや悲しみを本当に理解できる時がやってきます。 生まれたときから、あるいは幼い頃から障害児と共に成長している彼らには、幼い時には見えなかったものや理解できなかったことが見えてくるのです。